ぶっちゃけ、新卒の就職の場合、資格はさほど重視されません。
たとえ空欄であっても面接の印象がよければそっちの方が有利です。
強いて言えば、求人件数が最も多く誰でも取得しやすい運転免許。
ペーパードライバーでもよいので持っておくと身分証明書にもなります。
資格欄が普通自動車免許1つあっても選べる仕事の幅が広がります。
また、取得しておくと、面接および会社に入ってからすぐに役立つ資格というものがあります。
その資格は2つ。
秘書検定準1級とMOS(マイクロソフト・オフィススペシャリスト)マスターです。
他は職種によって便利な資格が異なりますので後ほど紹介致します。
なお、資格スクールが資格を取ろう!と学生を勧誘することがよくありますが、新卒におすすめな資格は普通自動車免許と独学でも十分取得できる資格です。
行政書士、社労士の資格スクールの売り込みもありますが、こういうのは職について興味が出てきてからでも遅くはありません。資格に多大な時間を費やすくらいなら、企業研究、就職の筆記試験対策、面接の準備(スーツ等の用意、面接で聞かれるであろう質問に対する回答の準備)等を優先させた方がよいでしょう。
1.秘書検定準1級
秘書検定は、ビジネスマナーを学ぶ資格。
上司への対応、外部および社内の人への対応、そして人間関係を円滑にする資格。
人間力を養う検定とも言われています。
敬語や立ち居振る舞い、様々な状況下(オフィス内や冠婚葬祭、中元・歳暮、上司の出張前後等)で適切な対応ができるかが問題となってきます。
秘書検定準1級には、立ち居振る舞い、敬語の使い方を試す面接試験があります。
この面接試験は「感じのよさ」がポイント。
秘書検定の面接試験を修得するということは「感じのよさ」を身につけるということです。
そしてこの「感じのよさ」は企業の面接でも大いに役立ちます。
面接でも役立つ、会社に入ってからも役立つ、まさに1粒で2度美味しい資格なのです。
しかも「出る順問題集」等でくり返し学習(面接はスーツやヒールを身につけて練習)すれば、3~4ヶ月もあれば十分受かる試験です(詳しくは秘書検定準1級の項をご覧下さいね)。
女性の受験者が多いですが、男性でも十分役立ちます。
2.Microsoft Office Specialist Master
(マイクロソフトオフィス スペシャリストマスター)
MOSはワードやエクセルを使いこなす試験。
ワードやエクセルを使いこなせるようになっておけば、企業に入ってからも慌てる事がありません。というのも、どの企業でも、そしてどの職種でも、ワードやエクセルを使う機会が頻繁にあるからです。
勉強法は、市販のテキスト問題集(よく分かるシリーズ等)を見ながら、実際にパソコンで操作して覚えます。くり返し操作してしっかり覚えましょう。
ワードとエクセルはスペシャリストから勉強し、エキスパートまで取っておくとよいでしょう。
時間はかからないのでアクセスとパワーポイントもついでに取っておきましょう。
パワーポイントは営業職や企画などでプレゼン資料を作るのに使います。
アクセスはデータベース。お店などの売上や商品管理に使います。
全部合わせてゆっくり勉強しても4~6ヶ月もあれば十分です。
自信をつけるにも便利な基礎資格と経験
企業に入って「戦力になれる自信」があれば、気分も違います。
逆に会社に入って勤まるかどうか不安だと、就職試験へのモチベーションが下がります。
結果、筆記試験対策や面接準備も苦になりがち。
また、不安な気持ちか積極的な気持ちかどうかは面接官にも伝わりやすいので、「自信」をつける上でも資格が役立ちます。さらに資格だけでなく自分が希望する仕事に関連したアルバイトを経験するとさらに自信がつきます。うまくいくとそのままアルバイトから就職などというケースも。
では、次は志望職種によってどんな資格が役立つか見てみましょう。
普通自動車免許
営業職は、とにかく移動が多い。
都会では駐車場が少なく、あっても高いので電車で移動する営業マンが多いのですが、地方ではダントツ車が多い。
また、ハローワークの求人を見ても営業職は「普通自動車免許必須」と書かれているものが多い。
「普通自動車免許必須」の場合もあるので、ぜひ取っておきたい資格です。
取得期間の目安としては2~3ヶ月程度です。
それと営業職や企画でよく使うのがパワーポイント。
会議や得意先でプレゼンテーションを行う時にパワーポイントを用いながら説明することがあります。なので、基礎資格のMOSのパワーポイントが役に立ちます。
基礎資格10ヶ月+職種別資格2ヶ月(合計12ヶ月)
日商簿記2級
事務職にも、一般事務、総務、経理等色々あります。
しかし事務員というものは、経費の計算等することが多い。
経理職でなくても、数字を扱うことは多いので、余裕があれば、日商簿記2級を取っておくとよいでしょう。また、いざ、経理や総務に配属!となった時も慌てずに済みます。
4ヶ月~6ヶ月もあれば十分取得可能なので、取得しておきましょう。
なお、近年の求職状況を見てみると3級でも結構需要がある様子。
2級と3級のダブル受験をオススメします。
基礎資格と合わせて資格欄は3つ。
資格武装としてはちょうどいい感じです。
基礎資格10ヶ月+職種別資格5ヶ月(合計1年3ヶ月)
WEBクリエイター能力認定試験 エキスパート(HTML5版)
Illustratorクリエイター能力認定試験 エキスパート
Photoshopクリエイター能力認定試験 エキスパート
WEBクリエイター能力認定試験エキスパートは、本格的なホームページを作成する力を養います。スタイルシートの設定、htmlタグの編集等ができるようになります。
しかし、これだけでは不十分。
素材の作成にはIllustratorが必要、画像の修正・編集にはPhotoshopが必要になるからです。
3つ必要となると気が重いかもしれませんが、本当にWEBに興味のある方なら楽しんで勉強できるものですし、1つにつき2~3ヶ月もあれば合格できます。
また、資格合格後は、レンタルサーバーを借りて、自分のホームページを作ってみるとよいでしょう。いい力試しができる上、サイトを完成させた!という自信がつきます。
企業によっては「課題作品」を求める所もありますので、ぜひ習得しておきたいです。
可能であればCGIやPHPの学習もしておくと鬼に金棒です。
基礎資格10ヶ月+職種別資格8ヶ月(合計1年半)
Illustratorクリエイター能力認定試験 エキスパート
Photoshopクリエイター能力認定試験 エキスパート
DTPオペレーターの求人を見ていると、「Illustrator、Photoshopが使える方」という文言がよく見られます。
そして実際、現場では、IllustratorやPhotoshopを使って、チラシや広告を作ります。
なので、IllustratorやPhotoshopをしっかりと習得しておくと、よいでしょう。
入社前の課題制作試験、しいては、入社してからも役に立ちます。
また、試験合格だけでなく、日頃からチラシや商品パッケージのデザイン等よく見てセンスを磨いておくことが大切です。
基礎資格10ヶ月+職種別資格5ヶ月(1年と3ヶ月)
TOEICスコア750点以上 もしくは 英検準1級
キャビンアテンダントやツアコンダクター、グランドホステスなど英語を使う仕事は、英語に関する資格を持っておくとよいでしょう。
TOEICもしくは英検準1級と書きましたが、できれば両方持っておくとよいでしょう。
というか、英検準1級の勉強はTOEICのスコアアップにつながりますし、TOEICの勉強は英検準1級のリスニング等を強化します。意識しなくても、両方の勉強になると思いますので、必ず両方受けておきましょう。
英検よりもTOEICという声も聞きますが、英検には「面接」がついてきます。
英検準1級の面接は4コマのイラストの展開を説明する必要がありますので、語彙力、文を作って話す力が要求されます。ということはある程度英語が話せるということ。
「話せる」という自信はもちろん、基礎資格の秘書検定準1級と合わせて持っておくと、とても有利です。
学習期間は、1~2年程度。
長期に及ぶので、基礎資格(特にMOS)と同時進行するとよいでしょう。
基礎資格と合わせて資格欄は3~4つ。
大学指定の履歴書があれば、頑張ってPR文を考えましょう。
基礎資格と合わせて2年くらい。大学1年生から着々と準備していきましょう。
基本情報技術者試験 (余裕があれば応用情報技術者試験も)
新卒でシステムエンジニア志望の方は、基本情報技術者試験があれば十分。
後は会社に入ってからの勉強(研修)でOK。
しかし、より自信をつけたいなら、その上位資格である応用情報技術者試験も取得しておくとよいでしょう。「この仕事に対してやる気がある」「努力家」というよい印象を与えます。
基本情報技術者試験は3~6ヶ月くらい、応用情報技術者試験は、4~6ヶ月くらい見ておけばよいでしょう。
基礎資格10ヶ月+8ヶ月(合計1年半)
宅地建物取引士(宅建)
不動産業志望の方は、宅建と運転免許を取得しておけばよいでしょう。
宅建士は不動産業の会社では従業員5人のうち1人はいないといけません。
しかも宅建士は合格率が15~17%なので、持っている人も少なく、ライバルに大きく差を付けることができます。
また、35条書面や37条書面に記名できるのも宅建士だけですし、重要事項説明ができるのも宅建士だけです。
それだけに宅建士は不動産業の企業にとって、喉から手が出るほどほしい存在なのです。
余裕があればMOSのエクセルとワードも勉強しておくとよいでしょう。
MOS(2~3ヶ月)+宅建(6ヶ月)で8~9ヶ月程度
就職には「ITパスポート」「TOEIC600」が必要などと言って学生を勧誘する資格スクールがよくあります。
しかし上記の資格は独学でも十分に所得可能です。
しかも、どちらも中途半端な印象。また、実務に直結する資格とは言えません。
ITパスポートは、入社して役立つかと言えばそうでもありませんし、就職での評価は微々たるもの。
どちらかと言えば、実際にパソコンを操作してワードやエクセルを使いこなすマイクロソフトオフィスマスターの方が役立つというのが筆者の意見。
システム関連等パソコンを扱う仕事にしても、最低でも基本情報技術者試験がほしいところです。
TOEIC600も英会話ができるレベルと言うこともなく、全企業が英語を使うとも限りません。
英語を使う仕事であれば、最低でも750か英検準1級はほしいところです。
何でもかんでも詰め込んだ印象の資格欄、何となく取りました的な資格欄はアピールにはなりません。スッキリとシンプル、そしてわかりやすい資格欄がベター。
基礎資格とそれぞれの職種に応じた資格を取得することで、企業側には「やる気」をアピール、そして学生側には自信と希望につながるのです。
と、言うわけで、業者さんにムダなお金をつぎ込まないように気をつけましょう。